先日のUEFAチャンピオンズリーグ準々決勝第1戦、アーセナルvsレアル・マドリードの結果により、2025/26シーズンのプレミア勢のUCL出場枠が1つ増え、5つとなった。現在、リヴァプールが首位を走り、5年ぶりの優勝が確実に近づいている一方で、来季のチャンピオンズリーグ(CL)出場権をかけたTOP5争いは混戦の様相を呈している。
4月11日現在、勝ち点57で3位のノッティンガム・フォレストを筆頭に、4位チェルシー、5位ニューカッスル、6位マンチェスター・シティ、7位アストン・ヴィラまでが勝ち点差6で争い、さらに8位フラム、9位ブライトンも来季のUCL出場権を狙う。
各チームの今シーズンの戦いぶりを振り返り、来季UCL出場権となる5位以内を争うチームのキープレーヤーや残り試合の組み合わせを確認しつつ、展望を行う。
ノッティンガム・フォレスト
今シーズン、ノッティンガム・フォレストは堅実な守備と鋭いカウンターを武器に、意外な好成績を残している。中盤の組織力と粘り強い守備が特徴であり、特にホームゲームでは安定感のある戦いを見せている。過去数シーズンは降格争いに巻き込まれることが多かったため、ここまでの戦いぶりは驚きであることは間違いない。
キープレーヤー
- モーガン・ギブス=ホワイト:中盤の創造性を担い、攻撃の起点となる。
- クリス・ウッド:チームの得点源であり、ここまで18得点を記録。
- ムリージョ:フィジカルを生かした守備と積極的な攻撃参加も持ち味。
残り試合
- エバートン(ホーム)
- トッテナム(アウェイ)
- ブレントフォード(ホーム)
- クリスタルパレス(アウェイ)
- レスター(ホーム)
- ウェストハム(アウェイ)
- チェルシー(ホーム)
ノッティンガムはUCL出場権を争うチームとの対戦はほとんど消化済みで、下位チームとの対戦を多く残している。唯一、最終節にチェルシーとの対戦が残っているが、その頃には既に大勢が決まっている可能性もある。これまでの勢いを継続できれば、少なくとも5位以内には食い込んでくるだろう。
チェルシー
マレスカ新監督のもと、年末までは豊富な攻撃陣と若さの勢いで勝点を伸ばしてきたが、過密日程からか調子を落として敗戦を喫することも増えている。また、自分たちの時間帯にゴールをあげられないと、手詰まり感を起こし、戦術に柔軟性が見えない。2025年に入ってからは特にアウェイゲームで勝ち点が全くと言っていいほど得られておらず、現状で4位とはいえトップ5を射止めるには、越えるべきハードルが多そうだ。
キープレーヤー
- コール・パーマー:チームの絶対的中心。相手のマークが厳しい中でどれだけ数字を残せるか。
- エンソ・フェルナンデス:攻撃陣になかなかゴールが生まれない中、この攻撃的なMFの神出鬼没な動きと得点力がキーになりそう。
- リース・ジェームズ:怪我をせずにキャプテンとしてどれだけチームに貢献できるかが鍵。
残りの試合
- イプスウィッチタウン(ホーム)
- フラム(アウェイ)
- エバートン(ホーム)
- リバプール(ホーム)
- ニューカッスル(アウェイ)
- マンチェスターU(ホーム)
- ノッティンガム・フォレスト(アウェイ)
残り試合を見ると、TOP5奪取に向けてホームでの対戦が多いことはプラスに働きそうだ。ただし、相手は首位のリバプールや、順位争いのライバルのニューカッスル、難敵マンUと簡単な試合はひとつもない。準々決勝まで進んでいるカンファレンスリーグもあるだけに、終盤の過密日程でどれだけ意地を見せられるか、クラブ全体のメンタリティが測られそうだ。
ニューカッスル
エディ・ハウ体制3年目となった今季だが、想定通りの結果が残せているとは言えない。各ポジションに質の高い選手は揃えているものの、勝点を取りこぼすことも多い印象である。しかし、リーグカップで70年ぶりとなる国内タイトルを獲得し、チームは勢いづいている。
キープレーヤー
- サンドロ・トナリ:運動量豊富なボランチ。熱いプレーでチームに貢献。
- アレクサンダー・イサク:チームの得点源。後半戦に向けてさらなる爆発が期待される。
- ファビアン・シェア:経験豊富なセンターバック。順位を上げるには失点の減少が必須。
残りの試合
- マンチェスターU(ホーム)
- クリスタルパレス(ホーム)
- アストン・ヴィラ(アウェイ)
- イプスウィッチタウン(ホーム)
- ブライトン(アウェイ)
- チェルシー(ホーム)
- アーセナル(アウェイ)
- エバートン(ホーム)
残り試合が唯一8試合あり、これをアドバンテージにできるかどうかが鍵になりそうだ。攻撃陣が奮起する中で、終盤戦で順位を上げていくには守備の安定が鍵となるだろう。大味な試合だけでなく、固い試合をものにするチーム力が試されそうだ。
マンチェスター・シティ
昨シーズンの王者マンチェスター・シティは、今シーズン不安定な戦いを続けている。ペップ・グアルディオラ監督の戦術は健在ではあるが、絶対的ボランチであったロドリの負傷が大きな影響を及ぼしていると見られる。エース・ハーランドの調子が上がらない中で、冬の補強で獲得したマルムシュが早々にフィットしたのは大きい。
キープレーヤー
- オマル・マルムシュ:冬にフランクフルトから加入。すぐにチームに馴染み得点を重ねている。
- アーリング・ハーランド:終盤に向け、コンディションを整えて戦列に復帰できれば大きな助けになるだろう。
- ニコ・ゴンザレス:冬にポルトから加入。ロドリの不在を埋められるか。
残りの試合
- クリスタルパレス(ホーム)
- エバートン(アウェイ)
- アストン・ヴィラ(ホーム)
- ウルヴス(ホーム)
- サウサンプトン(アウェイ)
- ボーンマス(ホーム)
- フラム(アウェイ)
シティはUCLプレーオフでレアル・マドリードに敗れ、残りはFA Cupとリーグ戦のみとなった。負傷者の影響もあって選手層の薄さが気になるが、負傷者の復帰が進めば、チームのパフォーマンスも安定するだろう。例年春先から終盤にかけて強さを発揮するだけに、TOP5には食い込んでくると見られる。
アストン・ヴィラ
アストン・ヴィラはエメリ監督のもと、攻守のバランスに優れたサッカーを展開して、チャンピオンズリーグでも準々決勝まで進出する快挙を成し遂げている。冬には、マンチェスターUからラッシュフォード、PSGからアセンシオと経験豊富なアタッカーを獲得し、早速フィットするなど、終盤戦に向けて戦力も充実している。
キープレーヤー
- マーカス・ラッシュフォード:マンUでなかなか出場機会をつかめない中、ヴィラでかつての輝きを取り戻しつつある。
- モーガン・ロジャース:今季主力に定着した若者はヴィラの攻撃陣を牽引する。
- ユーリ・ティーレマンス:豪華な攻撃陣を操る中盤の要。
残りの試合
- サウサンプトン(アウェイ)
- ニューカッスル(ホーム)
- マンチェスターC(アウェイ)
- フラム(ホーム)
- ボーンマス(アウェイ)
- トッテナム(ホーム)
- マンチェスターU(アウェイ)
残り試合の相手がいずれも順位が近く、非常に厳しい日程と言えそうだ。特に、マンC、マンU、ボーンマスといった難敵相手にアウェイで試合をしなければならないのは大きなディスアドバンテージになるだろう。チャンピオンズリーグの試合もあるだけに、TOP5に食い込むのは厳しいか。
総合的な展望
現在の順位と今後の対戦相手を踏まえると、ノッティンガム・フォレスト、マンチェスター・シティとニューカッスルがTOP5入りの可能性が高いだろう。しかし、最後まで混戦が続くことは間違いない。チェルシーは相手に対策され始め、経験の少なさも原因であろう閉塞感を打開できなければ、TOP5どころか来季のカップ戦出場権獲得も厳しいかもしれない。
今後の直接対決や格下相手にどれだけ勝点をこぼさないかが、CL出場権争いの行方を左右しそうである。今シーズンのプレミアリーグも、最後の最後まで目が離せない展開となりうだ。