2025年5月12日、ブラジルサッカー連盟(CBF)は、カルロ・アンチェロッティ氏のブラジル代表監督就任を正式に発表した。65歳のイタリア人指揮官は、レアル・マドリードでのシーズン終了後、5月26日から新たな任務に就く予定である。これは、ブラジル代表史上初の外国人監督の就任だ。
アンチェロッティ氏は、ACミラン、チェルシー、パリ・サンジェルマン、バイエルン・ミュンヘン、レアル・マドリードなど、欧州のトップクラブで数々のタイトルを獲得してきた名将。CBFのエドナルド・ロドリゲス会長は、「ブラジルサッカーの世界的な地位を取り戻すための戦略的な選択」として、アンチェロッティ氏の招聘を喜んだ。
アンチェロッティ体制で見たい5選手
新監督就任で気になるのがメンバー選考だ。数々の名門で指揮をとり、ビッグネームからのリスペクトも持つであろうアンチェロッティであれば、個性の強いタレント軍団でも一定の成果を上げることは想像に難くない。しかし、指揮をとるのはブラジル代表であり、求められるのは2026年のワールドカップ優勝である。
優勝が至上命題のチームで、アンチェロッティのもとでのプレーを見たい選手をピックアップした。
ネイマール(FW/サントス)
2025年1月、ネイマールはサウジアラビアのアル・ヒラルとの契約を解除し、古巣サントスに復帰した。2月6日の再デビュー戦では途中出場し、10日後にはPKで復帰後初ゴールを記録。その後もアシストを重ね、チームの攻撃を牽引している。
長らく怪我に泣かされ、2025年3月には代表復帰かと思われたが、またも怪我で招集は見送られた。新監督がすでにネイマールと連絡を取り合っているとの報道もあり、アンチェロッティのもとで復帰となれば、本人のモチベーションも高く、華麗なプレーと共にリーダーシップを発揮して王国再建に一役買うのではないだろうか。
カゼミーロ(MF/マンチェスター・ユナイテッド)
カゼミーロは2024年のコパ・アメリカのメンバーから外れ、以降代表から遠ざかっている。2024-25シーズンのプレミアリーグでは、30試合に出場し2得点を記録。守備的MFとしての役割を果たしつつ、チームの中盤を支えている。
アンチェロッティ氏とはレアル・マドリード時代に共に戦い、UEFAチャンピオンズリーグ制覇を経験している。アンチェロッティが求めるプレーも熟知しているはずで、ピッチ内外でのチームへの貢献が期待され、代表復帰もあり得なくはない。
マテウス・クーニャ(FW/ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズ)
クーニャは2024年のコパ・アメリカのメンバーから外れたが、2024-25シーズンのプレミアリーグでは30試合に出場し11得点を挙げ、まさにブレイクのシーズンを送っている。セカンドストライカーやウイングとしての柔軟な起用が可能で、チームに多様性をもたらせる。
アンチェロッティの戦術においてクーニャのような多才なアタッカーは重宝される可能性が高く、新生ブラジル代表の屋台骨として重用されるかも知れない。
レオ・オルティス(DF/フラメンゴ)
レオ・オルティスは2024年にフラメンゴへ移籍し、2025年3月までに34試合に出場し3得点を記録している。2025年3月にはブラジル代表デビューを果たし、堅実な守備で評価を高めてきている。
ワールドカップ予選ではここまで16失点と守備の構築は急務なだけに、ディフェンス面でのアンチェロッティの手腕が問われるだろう。オルティスのような安定したセンターバックは重要な存在となるに違いない。
アントニー(FW/ベティス)
1月の移籍市場でマンチェスターUからスペインのベティスへとレンタル移籍したアントニーも、アンチェロッティのもとで復活を期待したい一人だ。ユナイテッドでは、周囲の納得する結果やプレーを見せられず、ピッチ外での話題の方が目立っていた印象であった。
しかし、ベティスでは本来の調子を取り戻し、22試合出場で8ゴール5アシストを記録している。ヨーロッパリーグ準決勝でのゴールなど重要な試合での活躍も見られ、この調子を維持できれば、代表の常連どころかレギュラーポジションも争えるだろう。
アンチェロッティのブラジル代表改革と今後の展望
アンチェロッティは、戦術的柔軟性と選手の個性を尊重する指導スタイルで知られている。ブラジル代表においても、伝統的な攻撃的スタイルを維持しつつ、守備の安定性や戦術的バランスを重視する改革が期待される。特に、経験豊富なベテランと若手の融合によるチーム構築が鍵となるだろう。
そのことを証明するように、ネイマール、カゼミロといったベテランたちにコンタクトをとっているとの報道も出ており、早くも新生ブラジル代表の構築に着手しているようである。
2026年のFIFAワールドカップに向けて、アンチェロッティ体制のブラジル代表がどのような進化を遂げるのか、今後の動向に要注目である。