シーズン後半戦スタートダッシュのキーマンになるのは誰?「特別移籍期間」に加入した新戦力たち

シーズンを折り返したJ1リーグは、14日の第20節から後半戦に突入した。

通常であれば代表ウィーク明けの通常の再開戦となるタイミングだが、今季はクラブW杯が開催される関係で、本大会出場国のリーグには「特別移籍期間」が設定され、戦力補強が可能となった。

6月1日~10日に設けられたその期間は、J1リーグで言えば浦和レッズだけでなく、同リーグのクラブが恩恵を受けられるものとなり、通常ウィンドー以外の貴重な補強期間となった。

各クラブはこの期間を有意義なものとするべく、積極的に動いた。ここではその中での注目選手を見ていきたい。

まずは浦和レッズに加入したFW小森飛絢。

小森はジェフユナイテッド千葉から今季ベルギー1部シントトロイデンに期限付き移籍していたが、クラブW杯を前に浦和に完全移籍。ベルギーではリーグ4試合、プレーオフ1試合の出場にとどまり、思うような活躍には至らなかったが、J2ながら23年に13得点、24年に23得点を挙げた得点力は確かなもの。さまざまなパターンからゴールを決められる選手であり、起用位置も融通が利くため、幅広い活躍が期待される。

ベルギー2部モレンベークからガンバ大阪に加入したMF安部柊斗も、クラブに大きな影響を与えそうな移籍と言えるだろう。

広い範囲をケアできる豊富な運動量と、自ら持ち上がって得点にも絡むことができるボランチは、昨季まで攻守に欠かせない存在だったMFダワンが抜けた穴を埋める期待感が高まっており、救世主的な存在となりそうだ。

6月15日の清水エスパルス戦ではいきなり先発に名を連ね、果敢にゴールを狙うなど持ち味を披露。今季開幕後に加入したMF満田誠のようにスムーズに力を発揮することができれば、前半戦を12位で終えたG大阪の巻き返しを支える選手となりそうだ。

安部同様に、早々にフィットすると予感させるのが、横浜F・マリノスからヴィッセル神戸に加わったDF永戸勝也だ。

こちらも15日の名古屋グランパス戦で加入早々ながらスタメンに抜擢。高精度の左足のキックで存在感を示し、CKからチームの2点目となるFW宮代大聖のゴールもアシストして見せた。吉田孝行監督からマンツーマンミーティングで指導も受けたという戦術面でもスムーズさを感じさせ、フィットに時間を要する選手も多い神戸の中で、異質の雰囲気を漂わせている。

いきなりの活躍で吉田監督からの信頼も厚くなっているようで、今後も左サイドバックのレギュラーを務め、3連覇を目指す神戸に欠かせない存在となっていきそうだ。

今季前半を首位で折り返した鹿島アントラーズは、DF安西幸輝が左膝前十字靭帯損傷で長期離脱したこともあり、ベルギー1部シントトロイデンからDF小川諒也を獲得。即戦力レフティーはそのままスムーズに穴を埋めることになるだろう。

鹿島は東京ヴェルディからDF千田海人も獲得している。東京Vで確かな成長を遂げていることを感じさせていただけに少々驚きもあったが、同じく負傷離脱したDF関川郁万の穴を埋める候補としての役割を求められることになりそうだ。

リカルド・ロドリゲス体制1年目ながらリーグ上位につける柏レイソルは、MF瀬川祐輔、DF馬場晴也、FW小見洋太とJで確かな実績を持つ3選手が加入。この期間に上位争いのライバルでもあるサンフレッチェ広島にFW木下康介が移籍することにはなったが、タイプは違えど瀬川や小見といったアタッカーを加えられたことは、攻撃の幅につながることになるはずだ。

FC東京は後半戦に向けて浦和で実績のあるDFアレクサンダー・ショルツ、柏や神戸の守護神も努めたGKキム・スンギュをはじめ、浦和でくすぶっていたFW長倉幹樹、日本復帰を決めたDF室屋成とJでの実績豊富な選手が移籍してきた。

今季松橋力蔵監督が就任したFC東京だが、前半戦は結果が出せずに苦しみ、残留争いにあえいでいる状況。そこからの脱却を図るための大型補強を敢行したわけだが、この荒療治がどう出るか。明確なスタイルを持つ監督が指揮を執るだけに、補強もチームづくりも一貫したものになるとは思われるが、今までピッチではあまり見せられていない松橋サッカーを新たな選手たちが入った中でどこまで浸透させられるか。それが今後の浮上のカギとなりそうだ。