総勢16名、2025年のメジャーリーグで戦う日本人プレーヤー〜その3〜

2025年のメジャーリーグシーズン、日本人選手たちの活躍に大きな期待が集まっている。2024年、ロサンゼルス・ドジャースに移籍した大谷翔平は、打者専任ながらも圧倒的な成績を残し、MVP、本塁打王、打点王の三冠を獲得。2025年は投手としての復帰も果たし、二刀流の完全復活を目指す。

また、山本由伸はメジャー2年目となる今季、エースとしての飛躍が求められ、佐々木朗希は遂にMLBデビューを迎える。さらに、今永昇太や鈴木誠也、千賀滉大らもそれぞれのチームで重要な役割を担い、新たな日本人選手も海を渡った中、選手たちはメジャーリーグの舞台でさらなる歴史を刻もうとしている。

全3回でお届けしている、日本人メジャーリーガーの2024年シーズンの振り返りと、2025年の展望。最終第3回は、アメリカン・リーグ所属の選手を見ていく。

菊池雄星(ロサンゼルス・エンゼルス)

菊池雄星投手は、2024年シーズンにトロント・ブルージェイズからヒューストン・アストロズへ途中移籍し、両チームで計27試合に登板。シーズン通算で10勝8敗、防御率3.85、投球回数162.1イニング、奪三振数158、WHIP1.25という成績を残した。特にアストロズ移籍後は、15試合で7勝3敗、防御率3.45と安定した投球を披露し、チームのポストシーズン進出に貢献した。
オフシーズンにはロサンゼルス・エンゼルスと2年契約を結び、2025年シーズンから新天地での活躍が期待される。エンゼルスは先発投手陣の強化を急務としており、菊池投手にはローテーションの中核としての役割が求められている。

2025年シーズンの予想として、菊池投手は30試合に先発し、12勝9敗、防御率3.70、投球回数180イニング、奪三振数170、WHIP1.22といった成績が期待される。菊池投手の持ち味である速球とスライダーのコンビネーションに加え、チェンジアップやカーブといった変化球の精度向上が鍵となる。これにより、打者のタイミングを外し、被打率の低下や奪三振率の向上が期待できる。

一方で、シーズンを通じてのコンディション管理や故障予防も重要な課題となる。特に、夏場の疲労や故障を避けるため、適切な休養とトレーニングのバランスが求められる。また、ア・リーグ西地区の強力な打者陣との対戦が増えるため、対策を練り、柔軟な投球術を身につけることが必要だ。

菊池雄星投手の2025年シーズンは、新たな環境での挑戦となるが、これまでの経験と実績を活かし、エンゼルスの先発ローテーションを支える存在として活躍が期待される。彼の投球がチームの勝利に直結し、エンゼルスを2014年以来のポストシーズンへ導く原動力となることを願ってやまない。

前田健太(デトロイト・タイガース)

前田健太投手は、2024年シーズンにデトロイト・タイガースで29試合に登板し、3勝7敗、防御率6.09、112.1イニングで96奪三振、WHIP1.38という成績を残した。シーズン序盤は先発ローテーションの一角として期待されたが、不調が続き、中盤にはリリーフ登板も経験するなど苦しいシーズンとなった。

2025年シーズンに向けて、前田投手は先発復帰を目指して調整を進めている。タイガースの先発陣は若手主体で、経験豊富な前田投手の存在は重要となる。特にアレックス・カッブが右股関節炎の影響で開幕に間に合わない見込みであり、前田投手には再び先発のチャンスが巡ってきている。
具体的な成績予想としては、25試合に先発し、8勝6敗、防御率4.50、投球回数140イニング、奪三振数120、WHIP1.30程度が見込まれる。2024年の不調の要因となった制球難や被本塁打の多さを改善できれば、防御率4点台前半まで持ち直す可能性は十分にある。持ち味のスライダーを軸とした投球スタイルを維持しつつ、球速の低下を補うための工夫が求められる。また、シーズンを通じてのコンディション管理が鍵となる。2024年シーズンは故障こそなかったものの、シーズン後半の疲労がパフォーマンス低下につながった。適切な登板間隔の調整や球数管理を徹底することで、シーズン終盤まで安定した投球を続けられるかがポイントとなる。
前田投手にとって2025年シーズンは、MLBでのキャリアをさらに延ばすためにも重要な一年となる。

吉田正尚(ボストン・レッドソックス)

吉田正尚選手は、2024年シーズンにボストン・レッドソックスで108試合に出場し、打率.280、本塁打10、打点56、出塁率.349、長打率.415という成績を残した。しかし、期待されたほどの活躍とは言えず、特に長打力の面で物足りなさが指摘されている。
オフシーズンには、大型三塁手アレックス・ブレグマンの獲得が発表され、チーム内のポジション争いが激化している。ブレグマンの加入により、昨シーズン三塁を守った生え抜きのラファエル・デバースが指名打者(DH)に回ることになった。これにより吉田は外野手としての出場を模索することになるが、オフに受けた右肩が完治しない限り出場はないだろう。また、復帰したとしても、外野手の層は厚く、一筋縄ではいかない。シーズンを通して少ないチャンスを物にする必要がある。
2025年シーズンの成績として、出場機会の減少が予想されるため、打率.275、本塁打8、打点50程度と推測される。一方で、シーズン中のトレードによって新天地での活躍が期待できる場合、環境の変化が好影響を与え、打率.285、本塁打12、打点60といった成績を残す可能性もある。いずれにせよ、吉田選手にとって2025年シーズンはキャリアの重要な分岐点となるだろう。

菅野智之(ボルチモア・オリオールズ)

菅野智之投手は、2024年オフにボルチモア・オリオールズと契約を結び、5年越しのメジャーリーグ挑戦を果たすこととなった。2020年にもメジャー移籍の意向を示していたが、コロナ禍の影響もあって実現せず、読売ジャイアンツに残留していた。
NPBでの通算成績は、276試合に登板し、136勝74敗、防御率2.43、1585奪三振という輝かしい実績を誇る。特に2024年シーズンは、24試合に登板して15勝3敗、防御率1.67と圧巻の成績を残し、健在ぶりを示した。

オリオールズは若手主体のチームであり、菅野投手の豊富な経験と安定感が先発ローテーションの強化に寄与すると期待されている。また、彼の多彩な変化球と優れた制球力は、メジャーの打者に対しても有効に機能するだろう。一方で、年齢や環境の変化による適応が課題となる可能性もある。新たなリーグや球場、ボールの違いなどに迅速に対応し、持ち味を発揮できるかが鍵となる。

2025年シーズンの成績予想としては、先発ローテーションの4、5番手として25試合に登板し、10勝8敗、防御率4.20、奪三振率7.5程度の成績が見込まれる。NPB時代ほどの圧倒的な投球は難しいものの、制球力と経験を活かして安定したピッチングを続ければ、オリオールズのポストシーズン進出に貢献できるだろう。

藤浪晋太郎(シアトル・マリナーズ)

藤浪晋太郎投手は、2023年に阪神タイガースからオークランド・アスレチックスへ移籍し、メジャーリーグでのキャリアをスタートさせた。しかし、制球難や不安定な投球が続き、シーズン途中でボルチモア・オリオールズへトレード移籍。2023年シーズンは、メジャーで64試合に登板し、7勝8敗5ホールド、2セーブ、防御率7.18という成績に終わった。
2024年シーズンは、ニューヨーク・メッツと年俸325万ドル(約5億1000万円)で契約したものの、スプリングトレーニングでの不調が響き、開幕前にマイナー降格となった。その後、右肩の張りなどコンディション不良も重なり、マイナーリーグで33試合に登板し、防御率5.94と振るわず、メジャー登板の機会は訪れなかった。
2025年1月、藤浪投手はシアトル・マリナーズとマイナー契約を結び、スプリングトレーニングに招待選手として参加していた。メジャー3年目となる今シーズン、再起を図り、まずはメジャー昇格を目指すところから再スタートとなる。

2025年シーズン、藤浪がメジャー昇格を果たした場合、これまで同様中継ぎ投手として起用されるだろう。持ち味である速球とフォークボールを武器に、制球力が改善されて、かつシーズンを通して稼働できれば、40試合に登板し、3勝2敗、防御率4.50、奪三振率9.0、WHIP1.35程度も見込めるであろう。